著　者：ジョン・P・コッター（訳者：黒田由貴子）

題　名：『リーダーシップ論―いま何をすべきか』

出版社：ダイヤモンド社（1999年）

ビジネスの世界で変化と競争が激しさを増している。企業にとって絶え間ない変革が必須となり、リーダーシップがかつてないほどに求められている。ただ、リーダーシップといっても、なかなかとらえどころのないもの。リーダーシップの本質とはなにか。

「複雑な環境にうまく対処すること」がマネジメントだとすれば、リーダーシップとは「変革を成し遂げる力」。本書では、リーダーシップとマネジメントが明確に区別され論じられている。両者の違いに関する正しい理解は、青商会世代の経営者にとって自身のリーダーとしての行動、マネジャーとしての行動を省みる有益な知識となる。

また、リーダーシップとは、「人と組織文化に訴えかけることで機能する、柔軟で熱いもの」であり「同じ目標に向け組織メンバーの心を統合するもの」である。「熱い」「心」といったキーワードは、青商会世代の諸活動に見られる共通性でもあり、ぜひとも本書を基に自身の活動を検証してもらいたい。

「上司をマネジメントする」。これもリーダーシップとの視点も興味深い。変革を成し遂げるためには、部下が上司をリードすることも必要ということだろう。変革が進まないのは上のせいばかりでもないのだ。

なお、本書の発刊が1999年、収録されている論文は75年からのものだが、経年劣化もなく普遍的。企業や組織の変革に取り組む人なら誰でも、指針にして欲しいバイブル的一冊。

朝鮮大学校経営学部　趙丹