著 者:坂本光司
題 名:『日本でいちばん大切にしたい会社』
出版社:あさ出版(2008年)
本書は、6000社を超えるフィールドワークの中から長期にわたり好業績を持続している企業や、業績はともかく、真に世のため人のためになる経営に懸命に取り組んでいる価値ある企業を取り上げている。
第1部の「会社は誰のために?」では、会社は経営者や株主のものではなく、「社会みんなのものである」として、なかでも社員とその家族を幸せにすることが会社の一番の使命であり責任であるとしている。相次ぐ企業の不祥事や未曾有の経済不況の下、企業がいかにあるべきかを考える上で重要な視点であると言える。
第2部の「日本でいちばん大切にしたい会社たち」では、5つの会社のケースを取り上げている。なかでも、50年前に知的障害をもつ二人の少女を、「わたしたちみんなでカバーしますから」という社員たちのたっての願いで採用した日本理化学工業の話はとても感動的で社長の決断に胸が打たれます。
きれい事や、理想論と切り捨てず、本気で実践して業績を何十年もずっと高く維持している企業から学ぶ点は決して少なくないはず。
真の経営とは何か、企業は何のためにあるのか、受ける側も提供する側も心から感動するサービスとは何か、ということについて、もう一度考えるきっかけにしてみては。
朝鮮大学校経営学部 徐達成